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インボイス制度とAmazonセラー — 2026年10月の経過措置縮小に備える

Ekaterina Rubtcova 2分で読めます
Ekaterina Rubtcova — Amazon seller, founder of the Daniks cookware brand and Daniks.AI

Ekaterina Rubtcova

Amazon seller since 2018 · Founder of Daniks cookware · Founder of Daniks.AI

My Daniks cookware reached Top-1 in Germany and is currently Top-20 in the USA. To run its PPC I built Daniks.AI — now used by hundreds of Amazon brands. On this blog I share how I actually operate, no courses, no upsells.

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6月のある朝、日本のセラーからこんなメッセージをもらいました。「法人のリピーターから『適格請求書を出せないなら購入先を見直すかもしれない』と言われた。どうすればいい?」彼はAmazonビジネス経由の売上が月商の2割を占める、年商900万円の免税事業者です。

先に正直に言っておくと、私は税理士ではありませんし、Amazon.co.jpでも販売していません。売っているのは米国とEUです。でも、この相談には既視感がありました。EUのVATとOSSで同じ種類の痛みを通ってきたからです。フィンランドから25ユーロの税務申告を求められ、税理士への依頼料のほうが税額より高かった、あの世界です。制度の理解をケチると、あとで倍の授業料を払う。だからここではセラー目線の仕組みと判断材料を渡します — 最終判断は、あなたの数字を知っている税理士と決めてください。

日本のセラーには明確な期限があります。2026年10月1日 — あと3か月弱で経過措置が縮小され、免税事業者からの仕入れに認められる控除割合が80%から70%に下がります。同時に、小規模セラーの納税を軽くしてきた「2割特例」も、個人事業主なら2026年分が最後です。

要点まとめ:

  • 適格請求書(インボイス)がないと、あなたから買う事業者は消費税の仕入税額控除を満額取れません。 現在80%の経過措置が、2026年10月1日から70%に縮小されます(令和8年度税制改正で当初予定の50%から緩和)。
  • 2割特例(納税額=売上税額の20%)は、個人事業主なら2026年分で終了。 2027年・2028年分には30%で納められる「3割特例」が新設されました。
  • Seller Centralの消費税設定に登録番号を入れれば、Amazonが適格請求書を自動発行します。 「Amazonビジネス推奨セラー&商品」の条件にも含まれます。
  • 判断の軸はB2B売上比率。 法人購買者が多いなら登録のメリットが大きく、ほぼ個人向けなら免税継続も合理的です。
  • 登録はe-Taxで約1か月。 10月1日に間に合わせるなら8月中の申請が現実的なラインです。

インボイス制度をセラー目線で3分で理解する

事業者が経費として何かを買うとき、支払った消費税を自分の納税額から差し引けます。これが仕入税額控除です。2023年10月からは、この控除を満額取るために適格請求書(インボイス)が必要になりました。発行できるのは、税務署に登録して登録番号(Tから始まる13桁)を持つ適格請求書発行事業者だけ。登録すると、免税事業者だった人も消費税の課税事業者になります。

セラー側から見ると、こうなります。あなたが免税のままなら、あなたから買った事業者は消費税を満額控除できず、あなたから買うことが実質的に割高になる — これが制度の核心です。

なぜAmazonセラーには特に効くのか

一般の個人客には関係ありません。消費者は仕入税額控除をしないからです。効くのはAmazonビジネス — 法人・個人事業主の購買アカウント経由の売上です。

Amazonの対応は明確です。Seller Centralに登録番号を入力したセラーの販売分は、Amazonが適格請求書を自動発行します。そして「Amazonビジネス推奨セラー&商品」の掲載条件には登録番号の入力が含まれています。「適格請求書を発行できる出品者から買う」という購買ルールを敷いている企業もあります。

事務用品、消耗品、工具あたりのカテゴリーなら、B2B比率は自分が思うより高いことがあります。ビジネス注文のレポートで実数を見てから判断してください。ACoSの損益分岐を出さずに広告を語れないのと同じで、感覚で決める話ではありません。

2026年10月1日に何が変わるのか

免税事業者から仕入れても一定割合の控除を認める経過措置のスケジュールが、令和8年度税制改正で次のように変わりました。

期間控除できる割合備考
2023年10月1日〜2026年9月30日80%現行。あと3か月弱
2026年10月1日〜2028年9月30日70%改正前は50%の予定だった
2028年10月1日〜2030年9月30日50%
2030年10月1日〜2031年9月30日30%
2031年10月1日以降控除なし経過措置の完全終了

「2026年10月に50%へ半減」という古い記事がまだ大量に出回っていますが、令和8年度税制改正で70%に緩和され、期間も2年延びました。崖ではなく階段になった。ただし下りの階段です。

数字で見ましょう。消費税10%、税抜10万円(税込11万円)の仕入れなら、消費税額は1万円です。

  • 仕入先が登録事業者: 1万円を満額控除。追加負担ゼロ。
  • 仕入先が免税事業者(2026年9月30日まで): 控除は8,000円。買い手の追加負担は2,000円。
  • 仕入先が免税事業者(2026年10月1日から): 控除は7,000円。追加負担は3,000円 — 5割増しです。

この計算は両方向に効きます。あなたが免税のままなら、あなたから買う事業者の負担が10月から増える。あなたが課税事業者なら、免税の仕入先 — カメラマン、デザイナー、小規模な納品代行など — への支払いで、あなた自身の控除が減る。

なお、中国からの輸入仕入れ中心のセラーはここは心配いりません。輸入時に税関へ払う消費税は、輸入許可通知書を保存していれば適格請求書なしで控除できます。効いてくるのは国内の免税事業者への支払いです。

実務のヒント: 80%か70%かは「仕入れた時期」で判定され、商品なら引渡日基準です。免税の仕入先へのまとまった発注は、2026年9月30日までに納品を受ければ80%控除が使えます。どうせ出す発注なら前倒しの価値があります。

免税のままか、登録するか — 判断フレームワーク

日本のセラーと話していると、この判断を「なんとなく不安だから登録」か「面倒だから放置」で済ませているケースが目立ちます。見るべき変数は3つです。

1. B2B売上比率。 ビジネス購買が売上の10%未満なら免税継続の実害は小さい。20%を超えるなら、10月以降に法人客が離れるリスクは無視できません。冒頭のセラーのように法人リピーターから直接聞かれ始めたら、それが答えです。

2. 年商1,000万円との距離。 課税売上高が1,000万円を超えれば、どのみち2年後には課税事業者です。年商800〜900万円で成長中なら免税でいられる期間はもともと短く、登録時期を自分で決めるほうが得策。年商300万円でB2B比率も低いなら急ぐ理由はありません。

3. 価格でカバーできるか。 免税をやめれば、ざっくり売上税額の2〜3割(特例利用時)が新たな納税になります。価格に転嫁できるカテゴリーか、1円も上げられない価格勝負か。初心者向けの戦略記事でも書いたとおり、まず単位経済です。

免税事業者のまま登録して課税事業者になる
消費税の納税なしあり(特例・簡易課税で軽減可)
適格請求書発行できないAmazonが自動発行
法人購買者の追加負担10月から実質3%なし
Amazonビジネス推奨セラー条件を満たせない条件の一つを満たす

2割特例の終了と、その後の選択肢

免税事業者からインボイス登録した小規模事業者は、納税額を**売上税額の20%**で済ませられる2割特例を使えました。課税売上900万円なら売上税額90万円に対して納税18万円。これが使えるのは2026年9月30日を含む課税期間まで — 個人事業主なら2026年分(2027年3月申告)が最後です。

その後は、令和8年度税制改正で新設された3割特例があります。個人事業主の2027年分・2028年分に限り、納税額を売上税額の30%にできます(基準期間の課税売上高1,000万円以下が条件)。同じ例なら納税は18万円から27万円へ。痛いけれど、事業をやめる数字ではありません。

特例を使わない場合の選択肢は2つです。

  • 本則課税: 実際の仕入れ・経費の消費税を積み上げて控除する原則的な方法。輸入仕入れが大きいセラーは輸入消費税を満額控除できるため、こちらが有利 — 場合によっては還付 — になることがあります。帳簿管理は最も重い。
  • 簡易課税: 基準期間の課税売上高5,000万円以下なら選べる方式。業種ごとの「みなし仕入率」で控除を計算し、物販の小売なら80%、卸売なら90%。事務負担は軽い一方、選択すると原則2年間は変更できません。

どれが得かは輸入比率と経費構成で変わります。ここは税理士と数字を並べて決める場面 — 私が言えるのは、「何も計算せずに放置」が一番高くつく、ということだけです。

Seller Centralでの設定手順

登録番号を取ったら、Amazon側の作業は拍子抜けするほど軽いです。

  1. Seller Centralの設定 → 消費税設定を開く。
  2. 適格請求書発行事業者登録番号(T+13桁)を入力して保存する。
  3. 以降、適格請求書はAmazonが自動発行し、購買者は注文履歴からダウンロードできます。自分で請求書を作る作業は発生しません。

逆に言えば、登録番号を取ったのにSeller Centralに入れ忘れているセラーは、納税義務だけ背負ってB2B側のメリットを取り逃がしています。広告を買い手目線で確認する習慣と同じで、設定後は購買者側からの見え方まで確かめてください。

10月1日から逆算するスケジュール

  • 登録通知までの期間は、e-Tax申請で約1か月、書面申請で約1.5か月が国税庁の示す目安です。
  • 免税事業者は申請時に登録希望日(提出日から15日以降の任意の日)を指定でき、その日から課税事業者になります。
  • つまり10月1日を登録希望日にするなら、8月中の申請が現実的なライン。7月のうちにマイナンバーカードとe-Tax環境を整えておけば駆け込みになりません。

手続きの詳細は国税庁のインボイス制度特設ページにまとまっています。

よくある質問

Amazonセラーはインボイス登録が必要ですか?

法律上の義務はなく、任意です。ただし免税のままだと、あなたから買う事業者は控除を満額取れず、2026年10月1日からその割合が80%から70%に下がります。B2B売上が多いほど登録圧力は強くなります。

免税事業者のままAmazonで販売を続けられますか?

続けられます。出品資格に影響はなく、個人消費者向けの売上には実害もほぼありません。影響が出るのはAmazonビジネス経由の事業者向け売上です。

2026年10月1日に何が変わりますか?

免税事業者からの仕入れに認められる控除の経過措置が80%から70%に縮小されます。当初予定の50%は令和8年度税制改正で緩和され、以降は2028年10月から50%、2030年10月から30%、2031年10月に終了という階段になりました。

2割特例はいつまで使えますか?

2026年9月30日を含む課税期間まで。個人事業主なら2026年分の申告(2027年3月)が最後です。その後は個人の2027年・2028年分に限り、納税額を売上税額の30%にできる3割特例が使えます(基準期間の課税売上高1,000万円以下が条件)。

登録番号はSeller Centralのどこに入力しますか?

設定メニューの消費税設定ページです。Tから始まる13桁を入力すると、以降の販売分はAmazonが適格請求書を自動発行します。

中国からの輸入仕入れにも適格請求書が必要ですか?

不要です。輸入時に税関へ納付する消費税は、輸入許可通知書などを保存していれば控除できます。経過措置縮小が効くのは国内の免税事業者への支払いです。

登録申請はどのくらい時間がかかりますか?

国税庁の目安で、e-Taxなら約1か月、書面郵送なら約1.5か月です。10月1日スタートを狙うなら8月中の申請を勧めます。

今週やること

  1. B2B売上比率を実数で出す。 Seller Centralのビジネス注文レポートで、直近12か月のAmazonビジネス経由売上が全体の何%かを確認する。10%か25%かで判断がまったく変わります。
  2. 現在地を1枚にまとめる。 免税か課税か、直近の課税売上高、1,000万円との距離、国内の免税仕入先への年間支払額。この4つの数字を持って税理士に相談すれば30分で方向が決まります。
  3. 登録すると決めたら、e-Tax申請の準備を始める。 マイナンバーカードの確認まで今週中に済ませれば、8月申請 → 10月1日登録のスケジュールに乗れます。

インボイスは派手なテーマではありません。でも、EUのVATで痛い目を見た実感として、税制対応の差は1年後の手残りに静かに、確実に効いてきます。海外マーケットプレイスの税制や販売戦略の話は@AmazonFBAGirl(YouTube)でも扱っています — チャンネル登録しておいてもらえれば、制度が動いたときにまた実務目線で解説します。

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